
私はリクルートで営業の基本を学びました。
新規顧客の開拓・既存顧客のリピート営業をするうえで、営業部の新規契約記録を更新したり、社内賞を色々受賞したりして、それなりに営業に対しては自信が持てるようになりました。人材紹介なども経験した10年以上の営業経験をふまえてお伝えします。
営業職は個人営業や法人営業、様々な形態・規模のものがあり、常に上には上がいる、「完璧」が存在しない、奥が深い世界です。
ただ、決して難しく考える必要はなく、営業未経験の方でも、少し視点を変えるだけですぐに仕事や普段の生活に活かせます。
本記事では、リクルートでの営業活動を通じて学んだ、今も大切にしているポイントを下記に紹介します。
目次
営業の考え方の基本
営業はすべてのコミュニケーションの基本
営業というと、「売り込みとストレスの多い仕事」と考える方が一部いますが、そうではありません。
営業は基本的に「コミュニケーション」です。
・明るい声で挨拶をする
・何かしてもらった時に感謝を伝える
・相手の良い点を褒める
・建設的な質問をする 、など。
周囲と普段から積極的にコミュニケーションをとっておけば仕事で関わる時に協力を得やすくなりますし、仕事をスムーズに進められます。相手に対して良いと思った事を「それ、いいですね!」と素直に伝えるだけでも良好な関係は築けます。
営業は売り込みではなく「提案すること」。その上で決めるのはお客様。
■営業の際はサービスを必要としている見込客を探します。…探客・リサーチ
■対象のお客様に出会ったら悩みをヒアリングして提案する、案内します。… 接触数・商談数
■その商談数と単価によって売上が決まります。 … 売上=単価×客数×成約率
営業の考え方
・「あくまで相手の役に立つためにやっている」と考え、行動する
・「会社から出る給料の責任を果たす仕事をする」と考えて働く
この両方を考えて取り組む事が重要です。実際に多くの企業の営業はこの形で機能しています。
心に矛盾がなければ続けられる
慣れない内は断られる事に抵抗を感じる事もありますが、悪い事をしている訳ではなく、お客様の為、会社の為に日々努力する訳なので、誰かに後ろ指をさされるような仕事ではありません。
もしあなたの勤務先が公序良俗に反する営業活動をしたり 、人を騙すような商材を売ったりしている場合は、改善を訴えるか、それで変わらなければ真っ当な仕事が出来る会社に転職した方が良いでしょう。
少子化で日本は慢性的な人手不足状態の為、コンプライアンス意識に欠ける会社には若い人材が集まらず、段々と先細っています。
営業職転職はマイナビエージェントが案件数多いです。(公式サイト)
ヒアリングが重要。8割は相手の話を聞く
相手の悩みやニーズに対して解決策を提案するのに最も大切なのは、相手の話を聞くことです。
1「こんな事で困っていらっしゃいませんか?」と仮説を問いかけてみて、話のきっかけを得る。
2「その問題はこんな形で解決できます。他社様でも実際に利用されて問題が解決しました。やってみませんか?」
お悩みを聞いた上での提案なので、根拠と実績があればお客様は自分事として検討しやすくなるでしょう。他の企業よりもより安心でき、頼れると感じてもらえれば、お客様はあなたに依頼してくれます。
営業力が身に付く事によるデメリット2点
・不器用でピュアな人間とは思われにくい
営業職を「口が上手い人達」と見る方が、少数ですがいます。営業をすると多くの方が年月と共に人見知りを克服したり、話が多少上手になったりするからです。むしろピュアなままの方が多い印象ですが、不器用な印象のままでいたい方には向かないかもしれません。
・モテると勘違いされる事がある
営業職は綺麗で清潔感がある身なりいなければいけません。過去、営業職で印象が爽やかになった人を「遊んでそう」「モテている」と勘違いしていた人がいました。知人が彼女が欲しくてたまらない独身者なのに、「部屋に女の子を囲ってそう」と同僚に言われていた人がいました。外見が磨かれるのはむしろメリットですよね。一応こういう事もまれにあるようです。
営業をしない事によるデメリット5点
正直なところ、営業が苦手でも別の職種で生きていけますので必ずしも経験する必要は無いのですが、営業を経験しないことによるデメリットはいくつかあります。一部の方に見られる「営業をやってたらこうならないんだけどな…」という特徴を紹介します。
1.性格を誤解されたときに、弁明しづらい
自分の外見や会話の印象に気を配らないままで、性格や人柄を誤解されている方がいます。
悪い方に誤解されて、話しかけにくい、異性が寄りつかない状況が発生しているのですが、不器用なのか説明せず放置しています。
「自分はこういう性格だ!」と主張&PRできる自分でありたいですね。
2. 説明、教えるのが苦手という弱点がそのまま
物事を順序立てて説明したり、人に教えたりするのが苦手な方がこれ。
「何を言いたいのかわからない。」「結局結論は何?」などと言われると傷つきますよね。
営業だと相手にわかりやすい説明ができないと仕事が進まないため、続けていると嫌でも説明は上手になってきます。
営業を経験すると「あの先輩の教え方はわかりにくいよね…」と後輩から言われる事もなくなります。
3.「ごめん」「ありがとう」が素直に言えない
営業していると、どこかでクレームが発生し「申し訳ございません」と謝意を伝える機会が必ず発生します。
営業では感謝や謝罪の気持ちを素直に伝えられる人は多いですが、営業しない方・苦手な方は「ありがとう」「ごめん」が言えない人がいます。
肝心な時に感謝や謝罪ができない人は、友人や大切な人を失う人も。そんな事は避けたいものです。
4.ほめ方が不器用
よくあるのは女性を褒めるのが苦手で、誤解を受けているケースです。
褒めてるつもりなのに「セクハラ!」と言われる方を何度か見かけました。
適切な知識を持ってお話しすれば「 ポジティブな褒め言葉」として受け止められ、円滑なコミュニケーションがはかれます。
5.他人の本音がわからない
人の本音は簡単にはわかりませんが、営業をやっていると本音と建前の違いには気づけるようになってきます。
断り文句や建前回答というのは不思議なものでどこか似通っている為、断られる事を数多く経験すると、
相手の言葉以外の仕草や雰囲気などから本音を読み取れるようになります。
しかし営業経験がない方は、本音と建前の違いがわからない方が非常に多く、他人の発言に一喜一憂したりして振り回されている人も数多くいらっしゃいます。
恋愛や対人関係で不要な悩みを抱えたまま過ごすのは、避けたいものです。
営業力が身につく事によるメリット8点
1「ありがとう」「ごめん」が素直に言える
営業ではクレーム対応することがあり、「申し訳ございません」を言う機会が必ず出て来る為、普段のコミュニケーションでも「ありがとう」「ごめんなさい」を習慣的に言えるようになります。(営業してなくても普通にできるべき事ですが。)
謝るべき時に謝らなかった為に大切な人や友人を失ってしまう、という事もありません。
2他人に優しくなれる
営業をたくさん経験しているとその分たくさん断られることも経験します。
断り方も人によって様々ですが、中には心ない断り方をする方もいます。
営業経験者は相手の気持ちを考えて優しくなれる人が多く、営業の業者さんの対応が優しい方が多いです。
3説明力・説得力が身に付く
営業をやっている場合は何回も商談やプレゼンを経験して、わかりやすく説明する技術が身に付きます。
結論から話す事はとても重要です。
積み重ねていくと「何を言いたいのかわからない」などと言われて傷つく事も徐々になくなります。
4神経が図太くなり、多少の事では動じなくなる
沢山のトラブルやクレーム処理を経験すると、経験値も溜まってくるため、不測の事態が起こっても冷静に対処することができるようになります。私も最初はクレーム1つでよく動揺していましたが、ほとんどの事には落ち着いて対応できるようになりました。
クレームやトラブルは顧客の期待の裏返しでもあるので、きっちり対処する事で顧客との関係性がかえって強くなる事も。
5初対面の人に緊張しなくなる
私もそうでしたが、営業を経験して初対面の人に緊張することがかなり減りました。
営業では初対面の人と雑談したり、説明したりする場面が多いため、短時間でコミュニケーションが取れるようになる訓練を自然と行う事になりますが、慣れてくると初対面でも緊張しなくなってきます。
6聞き上手になる・雑談が上手になる
「話し上手は聞き上手」と言う言葉もある通り、人の意見を聞いた上で自分の意見を述べることができる為、雑談はもちろん商談でもスムーズなコミュニケーションが取れるようになります。
7関わる人達を通じて興味、関心の範囲を広げられる
私は営業職だった時、友人の紹介によりそれまで縁のなかったゴルフに出会いました。ゴルフセンスは全くありませんでしたが、友達と一緒にラウンドしたり、楽しい時間を過ごすことで人付き合いの幅が広がりました。人付き合いが広がるのは学びや気付きも多く、素晴らしいメリットです。
8相手の本音に気づけるようになる
営業でたくさん断られる経験をすると、相手の本音と建前の違いや嘘を見抜くことができるようになります。
また言葉以外の部分でも本音を感じ取ることができるようになってくるため、コミュニケーション能力が上がります。
プライベートでも非常に応用が利く部分です。
売れる営業の共通点・営業姿勢・行動習慣10点
1 清潔感ある身なり、ポジティブな雰囲気
心理学では初対面の人と会う時、人は最初の4秒でその人の印象を決めると言われます。
身体にフィットした服装や清潔感のある髪型、ビジネスマナーを基本としています。
スーツのシワ・ネクタイ・シャツ・靴の汚れには注意し、髪型は額が見える形にしましょう。
資料を整理していつでも商談を開始したり、メモを取れる状態にしておくのが理想です。
2 顧客に信頼されている
信頼は「信じて頼る」と書きますが、売れている営業は親しくなる以上に頼られており、何かあれば最初に相談されています。
3 紹介をよくもらっている
他人に紹介したいほど満足しているサービスを受けている場合はお客様は紹介をくれます。
紹介をもらうほど信頼されるにはお客様の期待を超えるサービスができていることが必要です。
口コミや紹介が多いと行動量少なく、高い成果をあげる事ができるようになります。
4 クレーム対応・未然防止が得意
クレームの未然防止策とクレーム発生後の対応が手慣れていてスムーズ。
クレームは大きく分けて2種類存在します。
1つ目は期待を裏切られて怒っているクレーム。これはこちらへの失望や怒りでクレームとなっている為、迅速に対応できれば関係性はよりよく改善され、継続的な信頼関係が築けます。
2つ目は、相手がクレーマーであるケース。クレーマーとは要求が厳しいお客様であったり現実的に実現が難しい要求をするようなお客様のことをいいます。
要求が厳しいだけであれば事前の説明を徹底することによってクレームを最小限に抑えることができサービスの提供中でも細かいところで気を抜かないと言うことがクレーム防止につながります。
現実的に実現が難しい要求をするお客様は本人の忙しさにより落ち着きをなくしている状態であったりただの嫌がらせをしているタイプだったり、本当にお客様として対応できるかどうか難しい境目にいる方。こういうのは現場で判断する他ありません。
実際にあった笑い話
最短でも訪問に10分かかるところを「3分で来い!」と言って一方的に電話を切るお客様。無理だと言っても到着したときに「なんで遅れるんだ!」と怒る無茶苦茶な人がいました。笑
話しているとあまりに忙しすぎて、自分が言ったことを覚えていない、自分が話したことを3分後には忘れて、「なんでお前はそれを知っているんだ!」という始末。ギャグのような存在でしたがお金はきっちり払ってくれる方でした。
こういう方は特殊なケースで出現率は0.1%にも満たないので遭遇する事はまずありませんが、もし出会ったら良い経験と思って楽しんで見るのもオススメです。
5 顧客満足は当たり前、その上で結果を重視
「誠実姿勢」「顧客満足を追求する」という文言を時々見かけますが、お金を頂く以上、これは当たり前の事です。
「顧客に満足してもらいながら、結果を出す」=「売上と顧客満足を両立させる事」こそ価値があります。
どちらかだけでは長く続きません。
営業の中には「プロセスを評価して欲しい」という方もいますが、結果を出す為にプロセスを頑張る事、これも当然の義務です。
結果が出ない間も給与は発生しますので、結果にこだわる事はやはり必要です。
頑張っても結果が出ない時もあります。
そういう時も諦めずに努力し続けれて連続で結果が出続ける時もあるのが営業の仕事です。
6 やり切る姿勢
・目標を決め、達成に必要な行動量や必要なものを準備する(KPIの設定)
・数日〜1週間スパンで適宜振り返りを行い、進捗が順調にいっているかチェックする(PDCA)
・見込み管理を見込みランクごとに整理し優先順位の高い順から前倒しで仕掛けていく(見込み管理)
・目標達成にできる努力や工夫がすべてやる。(Do the Best)
状況にかかわらず目標の達成に対してできることをすべてやりきると言う姿勢を徹底しています。
7 プロ意識
やるからには初心者であっても自分はプロだと言う意識を持って勉強・復習・実践を繰り返しています。
・顧客に何を聞かれても答えられる位に勉強し、わかりやすい説明ができる状態にしておく
・生産性を意識し、価値の高い仕事をする
・お手伝いするからには値段以上の価値を出す
・時間をこちらの都合で調整する(多少の忙しさを演出し、効率的なスケジュール設計をする)
・タダで仕事をしない(無駄なサービスをしない)
厳密にはサービスもあるが、トータルで生産性の高い価値を出す事を決めており、その為に必要なインプット、アウトプットは大量に実践する事を決めている。自分の時間を大切に管理している人が多いです。
8 論理的思考
結果が出る時は必ずうまくいく理由があります。結果が出ない時もまた、必ず出ないなりの理由があります。
営業がうまくいかない人の特徴としては動きが非効率であったり、説明の際にわかりやすい話の手順になっていない、資料や情報知識が不十分、 顧客との会話のキャッチボールがうまくいってないなど様々な理由が存在しますが、
最終的には「営業内容が魅力に欠ける」「話に説得力がない」という印象を与えているという事です。
広告の効果が出ない時も一緒で今までどういう人が広告に反応してきているのか反応した部分はどこかなどデータを全くとっておらず感覚で物事を進めているケースなどがあります。
うまく行く人は説得できる論理をきちんと組み立てています。
例
① 現状うまく行っている事、うまく行っていない事を羅列する → ヒアリングや過去のデータから抽出
② ①の状態から課題を出す。今足りていないものは何か。 → 必要な解決策を探す。
③ 課題解決に必要な手段と上手く行く理由を相手が理解できる内容で準備、良ければ類似の成功事例を用意する
④ 解決に必要な人員や予算、時間などを算出し、提案する
という流れになります。
9 お客様が知らない有益な情報を積極的に伝える
例えば求人広告だと悩みや課題をヒアリングし、それに対する解決案を考えます。
採用効果事例などを踏まえ、新しい広告原稿を提案する事ができると、お客様に新しい提案というだけでなく、部分的な広告作成方法を提供する事になり、WEBやチラシ広告での集客活動への活用という新しい価値を提供できるわけです。
効果が出ている事例なのでマネする事による期待も持てます。
ただ商品、サービスを売るだけでなく、自分だけの工夫の入った+αを提供して喜んで頂ければ、
お客様は「何か会ったらまずあなたに相談したい」と考えるようになります。
お客様が知らない事を沢山お伝えし、提案して価値を提供しましょう。
いつでも最初に思い出して相談してもらえる関係を作る。
そういう最初に想起される存在を「トップオブマインド」と呼びます。
営業が目指すべき理想の顧客関係です。
10 顧客の期待を2〜3%超える事を常に意識する
上述したような、顧客が知らない知識を提供することにより信頼を得るわけですが、商談のたびに顧客の知らない情報を提供し続ける事は難易度が非常に高いです。
ポイントは大きく期待値を超え続けることではなく2〜3%程度の「少しだけ期待を超える」と言う状態を継続するのが現実的です。これは顧客満足を維持するためのテクニックで長続きさせやすいやり方です。
クレームが起きない程度に期待値を毎回調整しそれよりも少しだけ高い価値を提供し続けることでお客様は「私たちが喜ぶことを毎回やってくれる」と感じ、長い取引関係を維持することができるでしょう。
まとめ
営業は必ずしもやらなくても生きていけますが、おすすめです
いかがでしたでしょうか。
営業に必要な姿勢や考え方、取り組み内容などをある程度ご理解いただけたかと思います。
必ずしも営業職につかなくても今日から実践することで役に立つことがたくさんありますのでぜひご参考ください。
当記事では表面的な部分の紹介となっているため別途noteにて さらに掘り下げた内容をいくつか提供していきます。
更新の際はまたお知らせしますのでお楽しみに!